スタートアップを退職し米国でMLエンジニアとして独立します

Posted on 2019-02-17(日) in Career

先週をもって、これまで4年間勤めた Duolingo (デュオリンゴ) を退職した。

アメリカの非日系のスタートアップで働くこと、退職すること、そしてアメリカで機械学習エンジニアとして独立することなど、こういった話はあまり出てこない(そもそも日本人の前例があまりない)ので、誰かの役に立つかかもと思い、これまで4年間のまとめも兼ねて書いてみる。

最終出社日に外から撮影したオフィス

「ロケットシップ」で働くということ

ご存知の無い方のために書いておくと、Duolingo (デュオリンゴ) は、現時点で世界で最も人気のある語学学習アプリである。2018年の時点で3億人以上の登録ユーザー、2500万人以上の月間アクティブユーザーが居る。米国ペンシルバニア州ピッツバーグに本社があり、自分も入社以来ピッツバーグ在住である。

ユーザー登録フォームなどで、歪んだ文字を読ませてボットか人間か判断する「CAPTCHA」を発明したことで有名なカーネギーメロン大教授 Luis von Ahn 氏と、彼の当時の Ph.D 学生であった Severin Hacker 氏が創業した。

日本語からは現段階で英語しか学べないが、表示言語を英語に設定することで、スペイン語・フランス語・ドイツ語・中国語・日本語などメジャーなものから、エスペラント・クリンゴン語・ハワイ語・ナバホ語など、比較的マイナーな人工言語・少数民族の言語まで、30言語以上を無料で学ぶことができる。

リリース後間もなくして、世界で最も人気のある教育アプリの座を不動にして何年も経つが、最近では、定額課金制のビジネスモデルによって収益を伸ばしており、App Store および Play Store の教育部門の売上げランキングでも1位の座に輝いている。

これまでに、Kleiner Perkins, Google Capital 等、名だたる VC から日本円にして合計100億円以上を調達しており、2〜3年以内の IPO (上場) を目標に着々と準備を進めていることを CEOのルイス が公言している

誰がどう見ても「ロケットシップ」(ものすごい勢いで成長していくスタートアップ)である。

雑居ビルからのスタート

Duolingo のことは、入社するずっと前から知っていた。

ずっとスタートアップで働いてみたかったこと、ちょうど次の仕事を探していたこと、そして、以前から面識のあった日本人エンジニアの @hidekishima さんが入社されたことを Facebook で知ったこと。あと、語学が好きなことも。色々な条件が重なり、ちょうど4年前の2015年2月、Duolingo に応募し、入社のオファーをもらった。家族を連れ、ニューヨークからピッツバーグへと引っ越した。

自分が入った時には、社員はおよそ40人ほどしか居なかった。小さい雑居ビルの1フロア分を借りたオフィスのスペースは、程なくしてすぐに手狭になった。会議室が2つしかなかったのですぐ足りなくなり、しまいには「エレベーターホール」や「階段の踊り場」が Google Calendar で予約可能になり、そこで個別ミーティングをしていたこと。トイレに行列ができるようになり、「緊急」の場合は、同じ雑居ビルに入居するレストランのトイレを借りていたこと。今となっては笑い話である。

筆者。引っ越し前のオフィスにて撮影

無料のランチが毎日提供されるのは、シリコンバレーのテック系会社では割と当たり前のこととなったが、弊社でも毎日無料でランチが提供された。会社全体、特にCEOのルイスが、社員が全員で集まって一緒にランチを食べるということを非常に重視しており、本当に毎日、皆でランチを食べていた。この伝統は、社員が150人ほどになった今でも続いている。

人数が増えて一つに繋げた長机では足りなくなり、ランチが複数の仲良しグループに分断されそうになった時も、それを避けるべく、社内で半分冗談に「机をどのように繋げたら一つの連続体を保ちつつ表面積を最大化できるか」という問題が半ば本気で議論になった(答えはフラクタルであるが、実際に実行はされなかった)。

爆発的な成長

1年程して新たに200人以上が入れる広い建物に引っ越した。退職時には社員の数は既に150人ほどになっていた。

100人ぐらいまでは全員が全員の顔と名前を知っており何をやっているのかだいたい分かっていたが、それを超えてからは新しく入ってくる社員の顔と名前を一致させるだけでも大変だった。スタートアップを経験した人に聞くと、だいたい「100人ぐらいの規模になるまでが一番面白かった」という意見が多いのだが、これには自分も完全に同意する。

こうなってくると、単純に社内で成果を出すだけではなく、社内の他のチームにも見えるように、自分をマーケティングする技術、のようなものも非常に重要になってくる。また、日本人が外国人の顔を見分けるのが比較的苦手なように、国際的な環境で働いていると、アジア人の顔を見分けるのが苦手な人も必ず居るので、そういった場合、新しく入社してきた同僚には積極的に挨拶して覚えてもらうといったテクニックが重要である。

非常に優秀な同僚に恵まれた。特に同僚のエンジニアは皆、GAFA などの難関企業に行こうと思えばいつでも簡単に採用されるが、あえて Duolingo を選んで入社している人ばかりだった。実際、Google を退職して移ってくる人も多かった。採用のバーも高く、いくら研究者として経歴があっても、有名大学卒でも、しっかりしたコードが書けなければ容赦なく落とされる。そういった同僚と一緒に同じプロジェクトで働くのは、大変刺激になった。

会社の成長に従って、人事制度や福利厚生の見直しも並行して行われた。

入社当初は「チーム」という曖昧なグループがあるだけだったが、次第にマネジャーを雇ったり内部で昇進したり、レポートラインを整えたり、職務とプロダクト・チームからなる組織の構造が整備されていったりした。会社の経営層の役割が、「市場に受け入れられる製品を開発し、スケールさせる」ことから、「市場に受け入れられる製品を継続的に開発・改善できる組織をスケールさせる」ことに徐々にシフトしていく過程を目の当たりにしたことになる。なかなかこの段階まで成長するスタートアップは少なく、非常に貴重な体験をしたと思う。

給料も日本の会社では考えられない勢いで上がっていき、ピッツバーグという生活費の安いところにありながら最後にはシリコンバレー水準でも遜色ない給料をもらっていたと思う。2017年に家を買う同僚が続出しすぎて社内でも話題になっていたのはまだ記憶に新しい。

会社設立5周年パーティーにて CEO へのサプライズプレゼント

社員が言語を学ぶことに対しても積極的で、自分のような語学好きにはまさに天国のような環境であった。社員の間で「○○語を話す夕食会」などが頻繁に開かれ、新しく覚えた言語を練習することができる。語学レッスンなど社員の自己研鑽には会社から補助が出る。また、昨年から全社を挙げての「言語チャレンジ大会」が開かれ、1年間で、Duolingo のコースを完了させ、言語スキルを上げた社員には賞金が出る取り組みも催された。

周りがほとんど英語ネイティブのアメリカ人なので、英語は言わずもがな、中国語や、趣味で勉強し始めた韓国語もずいぶんと上達した。2017年には、韓国に1ヶ月ほどホームステイ滞在して、リモートで働きながら韓国語を勉強し、講演をして回った。このような柔軟な働き方にも理解のある会社だった。

社内の情報の透明性も非常に高く、会社の売上や支出などの数字も内部には全てオープン。週に1度の Q&A と呼ばれる全社集会では、社員が CEO や他のリーダーに自由に質問ができる。採用の決定や昇進なども、マネジャーの一存で決めるのではなく、コミッティー制で、上から下の社員まで、ステークホルダーが自分の意見を自由に表明することができる。

CEO をはじめ、会社の経営層が、社員をいかに幸せにし、会社全体としての生産性を上げるか、といったことを本気で考えているのがひしひしと感じられる環境だった。

次世代の英語検定試験を作る

入社して1年半ほどして、ちょうど自分に合ったプロジェクトがあるということで、社内の研究チームに異動になった。その後はずっと、Duolingo English Test (DET) という、次世代の英語検定試験の開発に携わってきた。

米国へ留学するために TOEFL や IELTS などの英語検定試験を受けた経験のある方なら知っているかと思うが、これらの検定試験は、日本円で数万円程度と、受けるための料金が割高で、かつ、テスト運営側から正式に認められたテストセンターまで行って受験しなければならない。これ、日本人の感覚ではあまりピンと来ないが、例えばアフリカや中南米の発展途上国では、2〜3ヶ月分の給料に相当するところもある。それに加え、例えばブラジルのアマゾンの僻地などでは、そもそもテストセンターが無いので、近隣の都市、ひどい場合には別の国まで行き、わざわざテストを受けなければならない。そのために、もし誰か高校生がアメリカの大学に留学するために TOEFL を受けるとなると、家族・親戚一同がお金を出し合って、受験費と旅費を負担することもあるという。まさに一大事なのだ。

Duolingo のミッションは「世界中の誰でも、無料で教育を受けられるようにする」ということだ。そのため、教育の中でも重要な「言語教育」にこれまでフォーカスしてきた。このように、生まれ育った貧富の差によって英語検定試験を受けられるかどうかに差が出るのはおかしい。そういったミッションのもと開発されたのがこの Duolingo English Test (DET) だった。

Duolingo English Test (DET) では、コンピュータとインターネットが利用できれば、誰でも、家から、$50程度の費用で英語検定試験が受験できる。現在、北米を中心に何百もの大学等の機関において、TOEFL など歴史のある英語検定試験と同じレベルで、英語力の認定試験として DET が既に採用されており、早いペースで普及が進んでいる。(日本だと、例えば奈良先端科学技術大学院大学の入試の要件として既に DET が採用されている)

自分は、この Duolingo English Test (DET) で、自然言語処理と機械学習を使った、テスト項目の自動作成、難易度の自動推定、ライティング・スピーキングの自動採点などを中心に、様々なプロジェクトに関わった。項目応答理論、コンピュータ適応型テスト、自動採点技術など、入社前にはあまり詳しくなかった分野にも詳しくなった。2018年の国際学会 ITS (Intelligent Tutoring System; 知的教育システム) のワークショップで招待講演をした際も、非常に多くの方に興味を持っていただけた。

日本語コースのローンチ記念パーティーでのトーク

在職中には、他にも、データ解析系のプロジェクトにいくつも携わったり、2017年には、日本語・韓国語・中国語を学ぶコースの教材設計の中心的役割を果たしたりした。また、2018年には、Duolingo の学習者の実データを元にした Shared Task (Kaggle コンペティションのようなもの) を共同主催した。他の人が作ったタスクやデータ・セットで、いかに高い性能を出すかを競うという研究も結構だが、これまで存在しなかったデータ・セットやタスクの仕様を自分たちで考え、他の人を巻き込んで実行に移し、世間へ公開していくかという「知の最前線を押し広げていく」研究プロジェクトに共同主催者として参加できたことは非常に貴重な経験であった。

社内で中国語コースのローンチボタンを押す瞬間

また、Objective C と Swift を勉強して iOS アプリに実験を実装したり、React や Redux など割とモダンなフロントエンドの技術を使って実験用インターフェースを作ったり、社内初の機械学習ベースのマイクロサービスをローンチしたり、エンジニアとしても大きく成長できた4年間だったと思う。

もちろん、スムーズな道のりでは決して無かった。入社してしばらくの頃、自分の変更が原因でサイト全体を30分程度落としてしまったこともあった。慣れてスキルが向上するにつれて下手な失敗はあまりしないようになっていったが、少しのバグや不具合でも何万人、何十万人ものユーザーに迷惑がかかる環境は、ずっと気が引き締まる思いだった。

「ロケットシップ」からの離脱

Duolingo は、間違いなく自分がこれまで働いた中で一番良い会社である。そのことは、Glassdoor のレビューのページにも表れている。最近、Glassdoor は、会社が社員に良いレビューを書くよう圧力をかける「偽レビュー」が問題となっているが、Duolingo に関して言えば、全てのレビューが社員の本心から書かれていると断言できる。むしろ、肩書と文体を見ると、社内の誰が書いたかがだいたい想像できるぐらいだ。

もし、これを読んでいて Duolingo への就職に興味がある方が居れば、ぜひ自分まで連絡して欲しい。全力でオススメ・サポートしたいと思う。

それだけ良い会社だからこそ、「ロケットシップ」だからこそ、退職は自分にとって難しい決断だった。

きっかけは、長女が来年度ちょうど小学1年生になるのを期に、これまで引っ越しの連続だった自分の人生を見直し、もう少し長期的なことを考えざるを得なくなったことだ。妻と一緒に「ピッツバーグに根を下ろし、少なくとも子供が独立するまで、長期的にここに住むか」といったことを頻繁に考えるようになった。

最終的に出した結論は、残念ながら No であった。

ピッツバーグの夜景。3本の川が合流し作り出す美しい風景が特徴

はじめに断っておくと、ピッツバーグは素晴らしい都市である。規模の割に、図書館や美術館・博物館など、公共施設の質と量は他の大都市にも匹敵する。カーネギーメロン大などの素晴らしい教育機関がある。車が無くても徒歩や自転車でかなりの範囲生活でき、かつ安全で学区の良いエリアも多い。全米住みやすい都市ランキングの上位の常連なのも頷ける。その上生活コストが安い。ニューヨークから引っ越して物件を探していた時、「こんな豪邸にこんな安く住めるのか」と感動したものだ。今住んでいるあたりは、住民の知的・経済社会的レベルも高い。子供の誕生日パーティーのため同級生の家族を招待したら、父親が全員、医者か教授かソフトウェア・エンジニアだったという笑い話もあった。

問題は、アジアまでの距離である。中国人と日本人の国際結婚で、かつ、混血・米国籍の子供というこちらの家庭事情もあり、アジア(日本と中国)までの文化的・言語的な距離を保っておくことは、子供を含め自分たちに重要だと考えている。ピッツバーグに住んでいると、物理的な距離と、空港のアクセスの貧弱さが相まって、日本や中国に帰省するのは非常に大変だった。特に、妻の実家の広東に帰省するとなると、飛行機を3便乗り継ぎ、合計で24時間以上かかることになる。幼い子供を連れてこの距離・時間を移動するのがいかに大変かは、小さい子供をお持ちの方なら理解していただけると思う。

といういきさつで、今年の夏をもってアメリカの他州へ引っ越すことにした。具体的にどこに引っ越すかは、妻の仕事の関係もあってまだ未定。引っ越すということが決まってからは、仕事でもなかなかモチベーションを出すことが難しかった。いずれ退職することが分かっていると、中長期的なプロジェクトにコミットできず、会社に迷惑をかけることになる。それなら、早く引き継ぎを始めたほうがお互いのためだと思い、退職を申し出た。

米国にも円満退社はあるか

少し前に「アメリカでは仕事をいきなりクビになることがあると聞きますが、そのクビになった人が持っていた仕事はきちんと他の人に引き継がれるのでしょうか?」という記事が話題になっていた。レイオフや、社員に非があってファイヤー(解雇)される場合はともかくとしても、会社との関係が良好で自主退職をする場合は、きちんと引き継ぎをし円満退社をするというのが可能、というか普通はそうすべきとされる。

アメリカでは、ほとんどの州で「自由意志雇用契約」(at-will employment) が可能で、この雇用契約の下では、会社側も社員側も、いつでも、どんな理由でも、予告なしに雇用関係を解消できる。会社側から見れば、いつでも、どんな理由でも、予告なしに解雇ができるので都合が良いのだが、逆に社員側から見ても、いつでも、どんな理由でも、予告なしに辞めることができる。理論的には、辞めますと言ってその足で家に帰っても良い。実際、突然会社に来なくなる人も居る。

ただ、実質ほとんどの人がそうしないのは、やはり今後の会社との関係や業界での評判などに影響するからである。人は、第一印象と同じぐらい、同僚が最後にどのように辞めていったかを覚えているものである。そこで、会社や上司・同僚に不満があるからといって、社会人として問題のある行動をしたなら、その後ずっと、悪評がついて回ることになる。アメリカでは、リファレンス・チェックといって、就職する際に前職・前前職の同僚や上司にその人の評判を電話やメールで聞くことが頻繁にあるが、こういった場合にも、円満退社をし、良い関係を残しておくのは重要なのである。これを英語では、"don't burn your bridges" 橋を燃やすな、と表現する。

アメリカの業界標準では、退職希望日の2週間前までに、上司に退職を希望している旨を伝える。例えば、競合他社に転職する場合には、「今すぐ辞めてくれ」と追い出される場合もあるが、自分のように個人の都合の場合には、2週間きっちりと引き継ぎ作業を行うことになる。自分の場合は、これまで関わってきた研究や開発の全プロジェクトに対して、後任者がスムーズに引き継げるよう、ドキュメントを整備し実験をすべて正確に再現可能にしてから退職した。そのため、退職の旨を伝えてから2週間はかなり忙しかった。

最終出社日のプチ送別会

このような自分の都合で辞めたのにもかかわらず、引き継ぎやコミュニケーションのサポート、送別会、そして、 「引っ越しを考えている」と伝えると、引っ越し先の相談などにも乗ってくれた同僚たちには感謝しかない。特に、入社時からずっと色々と相談に乗ってもらったもうひとりの日本人エンジニアである @hidekishima さん、辞めるほぼ直前まで自分の直属の上司であったリサーチ・ディレクターの Burr Settles には特にお世話になった。この場を借りて特に感謝したい。

ストック・オプションをどうするか問題

ちなみに、スタートアップを退職後すぐに考えなければいけない大きな問題の一つに、ストック・オプションをどうするかということがある。

あまり馴染みの無い方のために説明しておくと、ストック・オプションとは、自社株をある一定の価格で購入できる「権利」である(株そのものではないことに注意)。行使価格はオプションが与えられた時点で決まっており、通常は付与時点での会社の第三者時価総額評価を元に決められる。この行使価格は通常低く抑えられているので、もし運良く会社が上場したり買収されたりした暁には、株価が何倍にも跳ね上がる可能性を秘めており、スタートアップでは広く報酬として使われている。

問題は、退職後3ヶ月以内にオプションを行使(お金を払って株を手に入れる)しないとオプションは無効となり、社員用の株式プールに戻されていまうということだ。

ストック・オプションについては、会社や個人によって条件が大きく異なるので具体的な数字を提示することは難しいが、割と一般的な成功したスタートアップの場合だと、行使するためのお金と税金とを合わせると、日本円にして数百万円〜数千万円を払って、自社株を手に入れなければならない。

そのお金が用意できなければ、手に入れられなかったオプションは全て消えてしまう。

もちろん、スタートアップが成功しなければ、そのお金は全て払い損、株式は紙くずとなってしまう。

逆に、在職し続けている限りはオプションが有効なので、例えば上場のタイミングと同時に行使し、一部の株を市場で売り払い、その売却益でオプションの行使価格と税金をカバーするといったことが可能である。

これについては、退職した社員にとって不当に不利にな条件だということで、米国のスタートアップ界でもかなり議論になっており、実際、Pinterest などオプションの行使期間を 7年に延長する企業も出始めている。この議論の詳細についてはリンク先などを参照して欲しいが、個人的には、社員が会社に居続けるインセンティブになるので、退職した身としては辛いところだが、このような条件はフェアだと思う。

個人的には、経済的に可能な範囲でストック・オプションを行使したいと考えているが、特に税金の計算が複雑なので、このあたりは現在、こういった話題に詳しい公認会計士とも相談しながら決める予定である。もし運良く Duolingo が上場したりして大きな利益が出た場合には、その半分を(主に日本の)機械学習・自然言語処理業界の発展のために、寄付や投資などの何らかの形で提供したいと思っている旨をこの場で宣言しておく。

米国でフリーのMLエンジニアとして独立します

ということで、家族や個人の事情から、より自由な働き方を模索したかったということもあり、フリーの機械学習・自然言語処理専門のエンジニア・コンサルタントとして独立することにした。これまでの経験やスキルを活かし、主に米国や日本の企業が「言語と技術をつなげる」手助けしていきたいと思う。

私と一緒に仕事をすることに興味のある方は、こちらのサイトから連絡していただければと思う。

今後2ヶ月程度は、いま書いている書籍の執筆などもあるため少しゆっくりとする予定。その後については、知り合いを中心に多数の方から既に引き合いが来ており、スケジュールが既に過密気味だが、条件次第では仕事を受けられる可能性もあるので、ぜひご相談いただければと思う。

フリーのMLエンジニアとして独立するにあたっては、法人化するかどうか、会計や税金の処理をどうするか、自分のマーケティングや価格設定をどうするかなど、また考えなければならないことが山のようにある。色々と試行錯誤した結果を、またこのような記事の形で共有したいと思っている。